Newsニュース一覧

「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」 グランプリ、準グランプリ受賞者のコメントを公開します!

2022年1月29日(土)から2月13日(日)にかけて開催してまいりました「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」では、審査会によって出品作品の中からグランプリと準グランプリを決定。それぞれの賞の受賞者からコメントが届きました。

グランプリ:三木 麻郁 × 国立病院機構新潟病院臨床研究部医療機器イノベーション研究室《とほく おもほゆ》

子どもの頃から図工の授業も好きでしたが、理科便覧を眺めるのも好きでした。現象の美しさに魅せられていたのだと思います。高校生の時に数学が好きになりました。ひたすら式が=で結ばれて展開される様が不思議でした。言葉の言い換えを永遠にしているようだからです。プラネタリウムが好きだから、天文関係の仕事をしよう、恐竜映画に出てくる学者が筆で骨を掘り起こすのを見て、考古学者もいい、と思っていたのに、いつしか美術大学を志していました。ただその時自分に言い聞かせたのは「アートはハブになれる」ということでした。
日本でアーティストが主体となってSTEAMを経験できる場は貴重です。領域横断によって新たな視点を提示できたことを嬉しく思います。チャンスを与えていただいたこと、制作にお付き合いいただいた石北医師、事務局の皆様、取材や試作の協力に快く応じてくださった皆様、一緒に展示をした作家の皆様、企業の皆様との出会いに、深く感謝申し上げます。

三木麻郁

本作品は「人工呼吸器を並べてハーモニーを奏でたい」というアーティストのアイディアを基に、プロジェクトに協力してくれた人たちへの感謝を込めて製作しました。作品で使用した人工呼吸器は、藤田隆行氏(コシェルラボ)と共に10年かけてデザインを追求し完成した機器ですが、専用スタンドと、音の出る仕組みは0から開発する必要があったため、私たち研究室にとっても大きな挑戦でした。試行錯誤の末、完成した「パイプスタンド」(実願2022-00190)は、アート以外にも、将来、医療や介護、消防用途などさまざまな分野で役立つ可能性があり、作品制作を通じて「アート×サイエンス・テクノロジー」を体現出来た事は大変喜ばしく、また、私たちの技術が詰まった作品が、アートとしても高く評価頂けたことを大変光栄に思っています。
この度はコロナ禍で様々な制約がある中、このような発表の機会を与えて下さり、本当にありがとうございました。一日も早く臨床現場に貢献出来るよう精進しますので、引き続き応援を宜しくお願い申し上げます。

国立病院機構新潟病院臨床研究部医療機器イノベーション研究室
室長 石北 直之

準グランプリ:金子 未弥 × 有限会社丸重屋《失われた全ての記憶を讃えるために》

振り返ってみると、丸重屋さんに京都ツアーをしていただいている時、街中で社長が地元の人から聞き出す会話の内容が、今回の作品の発端となっています。土地に対する愛着や誇りが言葉の端々に感じられる会話を聞きながら、確固たる古都京都のイメージと、一方で変わりゆく都市の現実が入り混じる状況に思いを巡らせるようになりました。
その思考と、丸重屋さんが非破壊検査で発見する「傷」はどんなに完璧であると言われていた構造物にもいつか必ず生じる、という事実が交錯して以降、「傷」はきっと都市のイメージにも生じているのではないかと想像するようになったのです。さらに目に見えない都市の傷があるとしたら、あらゆる矛盾によって生じる記憶の損失と結びついているのではないかという仮説から、今回の作品に至りました。
丸重屋さんと京都の人々によって、目に見えない傷を探す視点から、忘れられた記憶というテーマまで飛躍できたことが今回の共同作業で一番大きな収穫になったと感じています。本当にありがとうございました。

金子未弥

この度は準グランプリを頂き誠にありがとうございます。
当社の仕事は、決して目立つことがなく、皆さんの普段の暮らしの中の見えないところでインフラ保全に携わっています。それでも私たちは地域の皆様の安心と安全の守り手であることに誇りを持って仕事をしています。
今回、ご評価いただいた作品には、その影となって見えない私たちの汗にスポットを当ててもらったものだと感じています。これも金子先生が私達と沢山のコミュニケーションをとっていただき、表現してくださったものです。無くなっていく記憶がこのような重厚な美しいカタチとなり、仕事の美しい表情を空間に反映してくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも微力ながら非破壊検査の魅力やアセットマネージメントの重要性、その技術の素晴らしさを伝えるために、日々一歩一歩積み重ねて職責を果たしたいです。
コロナ禍の中、「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペディション」の開催にご尽力頂いた審査員の先生方、運営の皆様に心より御礼申し上げます。

有限会社丸重屋代表取締役社長 平手 克治